『寂聴 生きる知恵 法句経を読む』(瀬戸内寂聴)

 三連休の最終日は、雨。といっても、出かける予定はなかったので、まったく問題はない。これ幸いと、読書三昧。


 最初に手にしたのは、なぜか家にあった『ファントム・ケーブル』(牧野修)という本。私も相方も買った覚えはないので、おそらく息子の本だろう。彼はもう自立してこの家にいないが、この本は置いていったらしい。本の半分まで読んだが、私の趣味ではないので途中で読むのを止めてしまった。理由のない暴力描写は、不愉快な気分になる。


 次に読んだのは、『寂聴 生きる知恵 法句経を読む』(瀬戸内寂聴)。この本は、相方が買ったらしい。本自体とても薄く、文字も大きく、内容もわかりやすくて、すぐに読めた。この本の主題は2つで、1つは「生まれた瞬間から、人間は死に向かっている。自分も、他人も、やがて死ぬことは決まっている。決まっているけれど、死ぬのは怖いし嫌なことだ。だから人を殺してはいけないし、殺されてはいけない」ということ。そしてもう1つは、「愛すると執着が生まれ、怨みになる。だから愛するな、怨むな」ということ。どちらも、とても納得できた。


 半年前までの私なら「人を愛したり傷ついたりしながら、感情豊かに生きるほうがいい」と、この内容に反発したかもしれないが、今の私はそうではなかった。しかしそれは、人に対する愛情が薄らいだということではない。うまくいえないけれど、「愛する」の向こう側に続く道がなくなった、という表現が一番近いような気がする。つまり「愛する」が終着点であり、そのあとに「だから〜であってほしい」「だから〜でなければ嫌だ」ということが続かなくなったのだ。こうなると「期待が裏切られる」ことがないのだから、「怨み」に思うこともなくなる。そうすると、とても安定するし、安心する。気持ちが大きく揺さぶられ、苦しむこともなくなる。



寂聴 生きる知恵―法句経を読む

寂聴 生きる知恵―法句経を読む





    • 発売日: 1993/11

    • メディア: 新書



 

 

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