風呂上がり、鏡を見ていてふと思いついたこと

母は生前、よく私と娘を連れて海外旅行したいといっていた。彼女は何故、私たち三人で旅行したかったのだろう。

いろいろ話したかったのかもしれない。自分と娘と孫という立場ではなく、ただの女性三人として。自分の人生とか、夫の悪口とか、もっと他愛のないこととか。そういうことを、男抜きで話したかったのかな。

もし今、母が突然この世に蘇り、私と会ったとしたら、彼女はなにを私に話したいと思うだろう。この問いの答えは、すぐに頭に思い浮かんだ。

「みか、私の人生はこれでよかったのかな。なかなかよかったよね。どう思う?」

そしたら私は、こう答えると思う。

「すごくよかったよ、最高だったよ、自分でもそう思うでしょう?」

たぶん母はハハハと笑って「そうよね、なかなかおらんよね」と言うだろう。きっと母は、自分でそう思うだけじゃなく、私にも認めてほしいのだ。自分に自信がないわけではないんだけれど、娘から見たらどうかしら、どんな風に見えたかしらと、そういうことを気にしていた。彼女には、そんなところがあった。

鏡に向かって歯を磨きながら、そんなことを考えていた。私もいつか、娘や孫と一緒に旅行をしたいと思うかしら。

inouemica.work © 2018. All Rights Reserved.