しばらくスマホとインターネットから少し距離をおこう

思えば20数年前にモバイル端末(当時はPDAと言いました)の魅力に取り憑かれて以来、私は多くの人にモバイル端末の有用性について語り、強く勧めてきました。その後、モバイル端末はインターネットに接続できる「スマホ」として多くの人に愛用されるようになり、今やスマホを使わない人を探すほうが難しいほどです。

当時の私が今の電車内の風景を見たら、きっと「パラダイスだ!」と思うことでしょう。20数年前に思い描いていた未来が、いや、それ以上の未来が、そこにあるのですから。「そうそう! こうあるべき!」と大喜びすることでしょう。

しかし今の私は、とてもその言葉に頷くことができません。スマホを常に携帯し、いつでもインターネットにアクセスできる状況が「パラダイス」だとは思えないからです。

スマホ画面を見ている間、私の心は「インターネット」というバーチャル空間に飛んでいき、そこに記されている多くの人の言葉を読むか、誰かが撮影した写真を見ています。次から次へと表示される新しい情報に目を奪われ、心が躍ったり、曇ったりしますが、その間、私の目の前で起きていることに気づくことはありません。

さらに悪いことに、スマホを閉じてインターネットから切断されたあとも、インターネットで見た情報や聞いた話から心が離れず、いつまでもぼんやりと考えてしまいます。その間も、私は目の前で起きていることに気づくことはありません。

そんなことを繰り返していくうちに、私の生活のなかでだんだんスマホ(インターネット)の中の世界が占める割合が増えていき、その分、現実の世界が減っていく。特にコロナ禍によってテレワークが進む中、人と直接会うことが減ってきたせいか、その感覚がどんどん強くなっていく。そんな気がしてなりませんでした。

このままではいけない。そう思った私は、今日、どうしても残さなければならないアプリをいくつか残し、ほとんどのアプリを削除してしまいました。

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この画面を見ればおわかりかと思いますが、SNSに関するアプリはありません。インターネットブラウザもありません。厳密にいうと、Safariは削除できないので残していますが、フォルダの下に隠しています。なにか調べなければならないときは、ホーム画面を下方向にドラッグし、「検索」を使って調べます。そうすると、結果的にはSafariでネットをブラウズすることになりますが、使うのはその程度にしようと決めました。

不思議なもので、ここまでアプリを削除すると、つい習慣でスマホを手にしたところで見るべきものがないので、だんだん使用頻度が下がってきます。そうすると、これまでスマホを見ていた時間がぽかんと空いてしまい、手持ち無沙汰に。そうすると、おのずと目の前で起きていることをじっと見るようになり、私の中にだんだんと現実世界が戻っていく。

うちのワンコ、最近調子悪そうだな、とか。植木鉢の雑草からきれいな花が咲いたな、とか。麦茶をじっくり煮出すと美味しいんだな、とか。そんな、いつもなら「なんでもない」と通り過ぎるようなことが、私のなかでどんどん大きくなっていく。

この感覚が面白くて、そしてなんだか少し安心な気持ちになって。ただスマホのアプリを消しただけで、こんなに平和な気持ちになれるんだったら、しばらくこのままで過ごしてみようかな、と。今の私には、それぐらいのバランスがちょうどいいのかもしれません。

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