「第五の波」(安宅和人)のまとめ

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デルタ株について、いろいろ心配している。

kaz-ataka.hatenablog.com

この記事はとても内容が充実しており、日々アップデートされているので定期的に見ておくべきだが、とても長い記事なので、とりあえず備忘録として現在の状況のエッセンスをまとめておきたい。

まずデルタ株の特徴については以下の通り。

  1. このインド発祥のSARS-CoV-2の突然変異体は米国CDC*2によれば通常の風邪やインフルエンザよりも感染力が高く、水疱瘡(一人から8-9人伝染る)、麻疹(一人から10人以上伝染る)並みの可能性がある。現在の米国での感染発生の8割以上がデルタによるもの。都内でも7/15段階で約半分(49%)、7月末で80%、8月後半までにほぼ全てがデルタになる見込み。(8/5 11am 追記:首都圏はすでにデルタ89%と推定される。*3
  2. デルタであってもワクチンは有効。すでにデルタが8割の米国であっても、米国全体で入院患者の97%がワクチンを打っていない人。ワクチン接種者が重症になるケースはないわけではないが極めて稀。*4
  3. シニアだけがかかるわけではない。ワクチンを打っていない人は5-12歳の子供*5も含めて相当高いリスクに晒されている。
  4. ワクチンを打たずに入院してきた患者の多くが、自分がワクチンを打たなかったことを後悔している。
  5. 局所的なアウトブレイク(outbreak:突発的で抑え込めない感染症の爆発)につながる可能性も十分ある。
  6. 中南米のラムダしかり、全世界的にワクチンを打った人が大半にならない限り、さらなる変異体が現れる可能性は相当にある。すなわち、今後の変異体の発生に備え、ブースター的接種体制も準備が必要

デルタ株はこれまでの新型コロナウイルスと異質と考えるべきか。これまでの対応で感染していないから大丈夫、ではなく、改めて別の物として捉え直したほうがよいのかも。

重症化率については、岸田直樹先生による札幌市での最新データに書かれているとのこと。

(正しい治療を受けないと生死に関わる)重症・中等症の割合が歴然と上がっていることが示されている。年末の第三波のときは50代、40代感染者のそれぞれ7%、3.5%しか重症・中等症がいなかったが(当時20代は0%)、現在、50代で25%、40代 14%、30代 6%、20代ですら約2%が中等症以上に。25%、14%というのは従来株の70代、60代並の値だ*9*10働き盛りの人たちは年末までのシニア層並みに警戒し、備えなければいけない。札幌市ではついに20代の死者も発生している。(北海道ニュースUHB 2021年8月7日16:26

つまりデルタ株は感染性や重症化スピード、重症化率が高く、適切な医療を受けられないときの死亡率が高い、ということ。一方、ワクチンはかなり効果があることもわかっているため、ワクチンを打つメリットとデメリットを考えると、メリットのほうが高いだろうというのが安宅さんの意見。曰く、

大切なことは一回でもいいから、大半の人がとにかく打つこと。一度打てば完全な丸腰ではなくなり、相当(7-8割かそれ以上)の感染防御は期待できる。もちろん二度目は打つ。ただ一回目を相当量の人が打つことを最優先する。これが正しい鎮圧のアプローチのはずだ。

現在、重症患者以外は自宅療養とされているが、自宅療養中に突然悪化して死に至るリスクがある。ワクチン接種状況から見て、安宅さんは次のような予測をしている。

なくなる方々は40-50代の働き盛りが中心であり、シングルマザー、シングルファザーの方々は全くワクチンが打てていない人が多いだろうことはほぼ自明だ。このままコロナ孤児が大量に発生するということはどうしても避けなければいけない。

安宅さんの友人である救命医療医によると、

「ベッドがないから自宅にいなさい、は真逆のメッセージであり、ベッドを大幅に作って辛かったら受診、CTとって肺炎あったら入院 重症になる前に点滴治療する、これが死亡を減らす為にやるべき事」

とのこと。軽症+中等者を自宅療養させるのであれば、陽性が判明した時点で抗体カクテルを打っておくべきとのことだった。もし可能であれば、ぜひその方向で体制を整えていただきたいと思うが、その場合、抗体カクテルが足りるのかどうか心配。

以上をまとめると

    1. 当面(ここからの1-2ヶ月)のCovid19との戦いは、インフル以上に感染力が高く、悪化のスピードが早いデルタ株が中心、、空気感染に近い備えが必要であり、中等症以上の患者の自宅療養にそもそも適していない
    2. 行動抑制は重要であるが、感染拡大、重症者(そして死者)拡大抑制に本質的に効くのはワクチン接種
    3. デルタの感染力を考えると最低人口の6割、可能であれば9割のワクチン接種(免疫形成)を目標とすべき(8割程度がまずは目安)
    4. 若い人× 家庭&職場が現在の感染拡大の中心。現役層こそ早期の免疫形成が重要
    5. ワクチン接種は一回だけでも相当の意味がある。とにかくまずは一回目を打つ人(完全な丸腰ではない人)が大半になることが重要
    6. デルタ株の感染性の高さを鑑みれば、これまでのように接触感染を前提とするのをやめ、現在の感染者密度に加え、デルタ株比率、人口密度で荷重してワクチンを打つことが望ましい
    7. ワクチンによる抑制が間に合わない場合、ここから数週間のうちに感染の急拡大が起き、40-50代を中心に相当の重症者が発生する
    8. ここから数週間以内に起きる感染の急拡大に備え、対応病床の確保を一気に進めるべき、、病床不足による被害者急増リスクを回避*22
    9. 病床拡大の鍵は、命を張ってCovid19業務に従事している現場の戦士というべき看護師、医療スタッフ、、彼らに十全の給与、待遇を約束すべき
    10. 軽症+中等を自宅療養であれば感染判明ですぐに抗体カクテルを打って帰ってもらうべきだが、このままでは早期にショートする、、国内の総力を上げてでも増産すべき
    11. あらゆる大型イベントは当面、無観客としても、登壇者のワクチン接種 and/or PCR陰性による確認を前提とするのが望ましい
    12. 今後の変異体の発生、ブースター的接種の必要性に鑑み、半年か一年ごとに1億人に接種ができる医療体制に組み替える必要がある

とのことだ。

ワクチンを打つ、打たないという判断については個人に委ねられているため、私自身は基本的に「個人が判断すればいい」と考えている。ただ、その判断をする際、ある程度の情報収集は必要だろう。

ネットには、ワクチンに対するネガティブな情報もある。たとえば「ワクチンを打って亡くなった」人がいるという情報も散見される(因果関係はまだ認められていない)。

お腹の中にいる子供を守るために最善を尽くしたいと考えている妊婦さんは、自身の食事や飲み物、薬などにも気を遣っているのに、それ以上にダイレクトに身体に影響を及ぼしそうなワクチンを打っても大丈夫かどうか判断しづらいと思う。

その一方で、上記安宅さんの記事で引用されている資料もある。さまざまな情報を見て気持ちが揺らぎ続けるのは実際とてもしんどいことではあるが、かといって目をつぶって走り抜けるわけにもいかない(その代償はとても大きいと予想されるから)。

こんな状況で正解なんてわからないけど、私は自分で納得できるところまで考えて判断するということを諦めたくはない。

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