「ふつつかな悪女ではございますが」(中村颯希)

 

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おそらくライトノベルというジャンルの作品だと思う。はじめはコミック版を読んでいたのだが、コミックはまだ1巻までしか出ていない。どうしても続きが知りたくなり、原作を購入して読んだら大当たりだった。

この話の舞台は、雛宮。主人公は、次の妃候補として集められた5人の雛女のうちの1人である玲琳。美しい上に心が優しく、誰からも好かれているため、妃の最有力候補であった。一方、醜くていじわるな雛女、慧月は、玲琳とは対照的な存在として嫌われていた。自分の運命を呪い、玲琳に嫉妬した慧月は、2人が入れ替わる術をかける。術は見事に成功し、2人の魂は互いの身体に入れ分かった。

慧月になった玲琳は、さぞかしこの運命を嘆くと思いきや、「なんて健康な身体!」と大喜び。これまでやりたくてもできなかったことを、片っ端からやり始める。一方、慧月は玲琳の虚弱な身体を持て余し、連日の高熱に苦しむことに。「こんなはずでは」と思うが、今さら元の身体には戻りたくない。ひたすら熱や痛みに耐えながら回復を待つが、なかなかよくならないどころか、回りの女官から「いつものように鍛錬しましょう」といわれ、悲鳴を上げる。玲琳は、これまでいったいどんな生活をしていたのか……というお話。

虚弱でけなげなはずの玲琳が、強い身体を手に入れた途端、持ち前の鋼のメンタルと根性でどんな困難も突破していくところが最高に楽しい。また、その経験を通して今までとは違った考え方をするようになり、玲琳でも慧月でもない第三のキャラが育っていくところも面白い。身体が変わることによって身体感覚も変わり、それが精神に影響したということだろうか。実際にそんなことは起きないと思いつつ、もしそんなことができたらさぞびっくりするだろうな、と想像しながらたっぷり楽しんだ。

 

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