尾身会長x落合陽一『感染対策の“ジレンマ”』(NewsPicks)書き起こしメモ

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newspicks.com

これはとても貴重な動画だが、有料会員でないと視聴できないので、簡単なメモを残しておく。

今の感染状況をどう思うか

(尾)6月から状況を見てきた。夏休みにむかってだんだん感染が広がると予想していたが、デルタ株の威力は予想を上回った。

このあとどうなるのか

(尾)少し先の話をすると、10月中頃には希望者がほとんどワクチン接種できるようになる。国民の6〜7割がワクチンを打った状態で、マスクをしながら接触の機会を4〜5割まで下げていく必要がある。

子どものワクチン接種はどうなるか

(尾)現在は12才以下の子どもは打てないが、新しい治験がでればありえる。

学校の再開についてはどう思うか

(尾)これからしばらくコロナと付き合わなければならない。ここまでくると合わせ技が必要。たとえば先生はワクチンを打つ、ちょっと具合が悪い人がいたら検査を徹底的にやる、クラブ活動をするなら回数を減らす、大学生はオンラインでやってほしい。そういう対策をいくつか合わせ技でやりながらリスクを減らしていく努力が必要。

パッケージを組み合わせたバランスのよい対策はどうやっていけばいいか

(尾)複数の対策を組み合わせたパッケージ対策がうまくいかない理由は、人々の気持ち。「不安」と「不満」がある。そうすると、自分の気持ちに合う、自分の気持ちを解消してくれるようなメッセージばかり受け取るようになる。これが今の日本で少しずつ起きつつある。これをなんとかするには、リーダーが納得できるように説明していくしかない。不安を解きほぐす意図的な努力が必要。

行動を抑える私権の制限については。

(尾)ロックダウンは都市封鎖と解釈されるが、法律を改正してやってもらいたいのは、ロックダウンというより現状にあった納得感のある方法。デルタ株はどうやって感染するかはわかっていて、多くの人は協力してくれている。でも、していない人もいる。リスクの高い場所、行動が、最低限の制限で減らせれば、大きな感染を防ぐことができる。我々はゼロコロナを狙っていない。医療逼迫を抑えたい。であれば、多くの人が協力してもらえるような、必要な行動を担保できるような法律の構築があってもいいんじゃないかと思っている。そのためには、いろんな人の意見を聞きながら、最適なやり方を探っていく必要がある。緊急事態制限では高止まってしまう。

最近の感染者はどこで感染しているのか。

(尾)去年の暮れは飲食店が多かった。今は少し違っていて、もちろん飲食店もあるけどほんの一部。デパ地下やショッピングモールなどいろんなところで起きている。状況は同じで、いつも一緒にいる人以外の多くの人といる、あるいは混雑したところにいる、換気が悪いところにいる。そういう条件下でクラスタが起きている。マスクをしないでいろんな人とわいわい騒ぐと感染する。もうみんなコロナ疲れもしているし、守れなくなっている人も増えている。

都市と地方、ワクチンを平等に配布したのはなぜ。

(尾)当初はワクチンが十分あると思っているから、平等に配った。途中から「都市に集中したほうがいいのでは」となったが、もう物を送ったところから剥がしてしまうのはどうか。あと地方は数が少ないから、それを都市にしたところで焼け石に水。それより年齢に従ってリスクの高いところから配布するほうがいいと思う。今なら40〜50才かな。

オリンピックで学んだことは。

(尾)オリンピックについてはいろんな意見があったが、最終的にはやるということになった。長くがんばってきた選手に発表の機会を与えたいという意味で、多くの人がオリンピック開催に対して賛成したのだと思う。大事なことは、選手のためにやるということ。バブルの中での感染は、当初からあまり心配していなかった。心配していたのは、人々の気持ち。オリンピックを開催すると、人々の気持ちが盛り上がる。

パラリンピックの学校観戦については。

(尾)多くの人は見に行かない。人々は理解と納得を求めている。オリンピックのときは今より感染状況がよかったが(学校観戦を)やらなかった。今は感染状況が悪くなっているのにやるという。一貫性がない。人々は理解できないし納得できないだろう。実は観戦中の感染リスクが問題なのではない。人々に与える印象、影響、意識が変わることのほうが大きな問題なのだ。

国産ワクチンの開発は。

(尾)来年は国産ワクチンが利用できる可能性がある。実は日本でもmRNAは開発していた。ところが日本の場合、ワクチン研究はOKでも、その研究成果の応用はNGという歴史がある。資本力の問題もある。一番大きな要因は、日本は歴史的にワクチンの副作用に対して関心が高いということ。諸外国と比べると、特にその傾向が強いのが日本人。

専門家や医師と政治家のジレンマとは。

(尾)2つの側面がある。1つは政府と専門家の関係。政府と意見があわないことがあるが、専門家の提案を採用しない場合、その理由や根拠を示してほしい。日本はリスクコミュニケーションの文化がないので、なぜそうしたのか、意思の最終決定に至るプロセスをしっかり説明する必要がある。そのなかで、ポジティブとネガティブ、両方を示す必要がある。そうすると、多くの人は納得するはず。

今後、コロナを収束させていくためのグランドデザインは。

(尾)これまではワクチンという武器がなかった。ワクチンを軸にして検査することに加え、ほかの科学技術を使うということ……たとえばセンサーを使って二酸化炭素を検査したり、QRコードなどを使ったり、対策をしっかり行った店は認証を与えて安心して食事が楽しめるような仕組みを作る。ゼロか100ではなく、合わせ技で納得できる解決方法を考えていかなければならない。ワクチン、検査、科学技術を使った合わせ技で、コロナと一緒に過ごす普通の生活が実現していくと思う。

どういう社会にしていきたいか、みんなの意見が聞きたい。ワクチンを打った人にインセンティブが与えられる社会がいい? それともワクチンを打たない人は検査をしてイベントに参加する社会がいい? 抗原検査ありきの普通の生活だと、どう? どのやり方なら許容できるのか、いろんな人の意見を聞きながら模索していく必要がある。

治療薬に関してはどう思うか。

(尾)今でも抗体カクテル療法、ステロイドなどがある。インフルエンザは検査がどこでもできた。ワクチンと治療薬があったら、全然違う。いずれはインフルエンザのような感じ方をするようになると思う。

医療崩壊と言われているが、今後はどうなる。

(尾)医療のキャパシティは強化していったほうがいいと思う。臨時の医療施設は必要だと思う。国も災害医療として本腰を入れている。

多くの人が「なぜ日本は医療が充実しているのにこんなことになっている?」と言われる。その理由は、日本が超高齢者社会であるということ。日本の病院は、慢性の高齢者ケアのためのベッドが多い。つまり、病床の種類が違っていたということ。

新型コロナの2類を5類にしたほうがいいという意見は。

(尾)仰るとおりだが、実態を見ると自宅療養が増えていて、すでに5類と同じ扱いになっている。あとは保健所の関与が問題になっているが、今は保健所が関与しなくても医者が対応できるような形になってきている。

 

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